Vibe Codingの真実:AIでコードが書ける時代、システムは「自作」すべきか?

初回投稿:2025年12月28日
最近、IT業界で「Vibe Coding(バイブ・コーディング)」という言葉が注目を集めています。
「Vibe(感覚)」の名の通り、生成AIと対話しながら感覚的にプログラムを書き進める手法のことです。
「AIがコードを書いてくれるなら、もうシステム会社に頼まなくても自社で作れるのでは?」 そんな声も聞こえてきます。
実際に弊社でも最新のAI開発支援ツールを積極的に活用していますが、エンジニア歴30年の視点からお話しをしてみたいと思います。
結論からいうと「ちょっとした簡易ツール」ならAIで自作可能かもしれません。
しかし、少しでも複雑な業務システムなら、迷わずプロに任せた方が賢明だと思います。
なぜそう思うのか。
そこには、自作を試みる企業が必ず陥る「3つの罠」と、プロだけが実践している「AI活用の急所」があるからです。
1. そもそも「Vibe Coding」でどこまでできるのか?
Vibe Codingの最大のメリットは、学習コストの劇的な削減です。
プログラミングの習得には本来膨大な時間がかかりますが、AIのサポートがあれば、ロジックをゼロから組み立てる苦労が大幅に軽減されます。
私が指導した範囲では、一人前のエンジニアになるのに4年かかっていたところを、未経験から2年程度で、見た目はそれなりのものが出力できるようになっています。
(※ただし、本当に理解しているかどうかは別ですね)
【AI自作で「いける」ケース】
・エクセルのデータを特定形式に変換するスクリプト
・定型的なファイル操作の自動化
・単純な入力フォームの作成
ChatGPT、Gemini、Claudeにファイルをアップロードし、「この条件で自動集計するマクロを作って」と日本語で指示を出す。
こうした「個人の業務を助けるちょっとしたツール」なら、今や誰でもいけるかもしれませんね。
2. 自作を試みる企業が陥る「3つの落とし穴」
しかし、一見簡単に作れそうなツールでも、業務で使い続けるシステムには巨大なリスクが潜んでいます。
① 時間コストと機会損失の壁
レイアウトの微調整やエラー修正のため、AIへの指示出しに膨大な時間を奪われることになります。
自社の担当者が本業を離れて費やしたその時間は、本来、本業で得られたはずの収益になるはずです。
② 保守不能な「ブラックボックス」化
素人がAIに作らせたコードは構造が乱雑になりがちです。
「AIが直してくれるから中身は分からなくていい」と思われがちですが、構造が乱雑だとAI自身も混乱し、修正のたびに別の場所が壊れる「いたちごっこ」を招く可能性があります。
③ セキュリティの脆弱性
AIは脆弱性まで一緒に生成してしまうリスクがあります。
知見がないまま社内データを扱う仕組みを作るのは、ブレーキのない車で公道を走るようなものかもしれません。
3. プロがAIを使うとき、何を変えているのか?
実は、プロがAIを使う際には、単に「指示を出す」以上のことをしています。
① 「構造化」への徹底したこだわり
素人がAIに「丸投げ」すると、コードはスパゲッティ状態になります。
プロはAIにコードを書かせる前に、「どのような構造で、どのような思想で書くべきか」という枠組みを明確に持っています。
この土台を考えているからこそ、AIは後から誰でも理解しやすい、美しく堅牢なコードを生成してくれるようになります。
② 「作る」から「定義をする」へのシフト
かつては「プログラムを書くこと」に高いエネルギーが必要でしたので、そちらに気を取られてしまい、細かな仕様の詰めが後回しになりがちでした。
しかし今は、"構造的"に「仕様書の品質が、ダイレクトにシステムの品質を決める」時代です。
弊社もエンジニアも「プログラム書く」というのを後回しにして、「仕様を緻密に詰める」ことに全力を出しています。
この仕様の解像度を極限まで高める技術こそが、AI時代の「新・プロの条件」になりそうですね。
③ 「理屈」を理解しているからこそのエラー復旧力
AIにシステムを作らせていても、原因不明のエラーが発生することがあります。
何がどういう理屈で動いているのかを理解していないと、AIの提示する「もっともらしい修正案」を盲信するしかなく、エラー復帰に何の手も打てなくなります。
特にAIが関与できる以外の環境周りのエラーが発生するとお手上げです。
「なぜ動いているのか」を論理的に把握しているからこそ、プロは不測の事態にも対処ができます。
結論:本業に集中することが、最大の利益を生む
AIは、緻密に描かれた「設計図」があって初めて真価を発揮します。
その設計図に命を吹き込み、細部まで描き切ることができるのは、数々の現場をくぐり抜けてきた人間の知見そのものだと考えています。
「ちょっとしたツールだから、自分で作ってみよう」という好奇心は大切ですね。
しかし、そこに膨大な時間を費やすくらいなら、ぜひ御社の本業に集中した方がいいですね。
プロの知見と、AIの圧倒的なスピード。
この両方を組み合わせて、最短ルートで高品質なシステムを手に入れる。
これこそが、最も賢い「AI時代のITとの向き合い方」ではないでしょうか。
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