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2025.12.09

【知らないと損】システム導入で失敗する会社の3つの致命的な共通点

システム導入は、企業を成長させるための大きな投資です。
しかし、残念ながら、期待に反して現場で十分に活用されず、失敗に終わるプロジェクトも数多く存在します。

システムの失敗の8割は、コードを書く前の準備段階で決まります。
どんなに優秀なエンジニアが開発しても、「誰が」「何のために」「何をゴールとするのか」という根本的な部分がズレていると、絶対に現場で使われなくなります。

今回は、私が長年の経験から見た、システム導入が失敗する一番の原因、すなわち要件定義のズレが原因で発生する、特に致命的な3つの共通点を紹介します。


1. 長年の経験から見た、3つの失敗事例
システム導入の失敗は、機能自体ではなく、「ビジネスの目的」と「現場の業務」の理解が浅いまま進むことで発生します。

① プロジェクトが「体裁」にすり替わるケース
プロジェクトの目的が「業務改善や売上向上」から「システムを完成させること」にすり替わってしまうケースです。

私が経験した事例としては、エンドユーザーの担当者が、体裁やドキュメントのフォーマットなど、本質ではない部分に過剰にこだわり始め、肝心な「何を、どう作るか?」という仕様の決定が停滞したことです。
その結果、開発自体が目的となってしまい、本当に重要な成果の視点が欠落。
プロジェクトが大幅に遅延した末、結果的に消滅してしまいました。

② 「安い」が招く、パッケージ改修不能の罠
安易な理由でパッケージ製品をカスタマイズすることで、逆に身動きが取れなくなるケースです。

こちらの事例では、「ツールは安いから」とパッケージをカスタマイズして運用を開始したところ、使ってみたら業務に合わない部分が判明しました。
その結果、再度カスタマイズしようとした際、パッケージのコアな部分だったのでカスタマイズできず、1年間、無理やり使った後にシステムを捨てることになりました。

③ 終盤の「ちゃぶ台返し」で全てが無駄になるケース
導入の初期段階で経営戦略が共有・承認されていない場合に発生する、最も費用対効果の悪い失敗があります。

納品直前になり、経営者が最終確認した時に、経営者側の思いと違うということで、プロジェクトが強制終了しました。
その時点で数千万円、数ヶ月の工数全てが無駄になりました。
システム開発は「要件定義」の段階で経営戦略と現場の業務を融合させる必要があります。
この重要なプロセスに経営層が関与しておらず現場任せにしてしまったからです。

システムは経営戦略そのものです。
経営に関わる方が丸投げしてしまうと、不幸になる事が多いですね。

2.失敗しないためのチェックリスト
失敗しないために、以下の流れを最低限の導入成功のセットだと考えるといいと思います。

①課題整理と目的の明確化:
導入によって「誰が、何を、なぜ改善したいのか?」という目的を明確化する。
できれば数値目標を作成するとよいですね。

業務フローの見える化:
現状の業務と、システム導入後の理想的な業務フローを図で明確に比較し、ムダを特定する。
この業務フローを図解することが成功のキーポイントになります。

経営層・現場の承認:
経営層のビジョンを要件に落とし込み、現場の意見を取り入れた上で、全関係者が設計に合意する。
「システムは経営戦略そのもの」であり、ここを外すと業務コストが逆に増えることになります。

実運用を考えた設計:
「運用ルール」までを設計に組み込み、現場がスムーズに使い始められる教育・サポート計画までを含めてスタートする。
作っておしまいなシステムが多いですが、どうやって現場で使ってもらうのか一番の戦略が求められます。
このシステムを使う事で現場が、どのようなメリットを享受できるのか?「目的の明確化」と合わせた運用が必要になります。

3.3つの事例が示す失敗の共通点
これまで見てきた3つの失敗事例には、立場(現場担当者、ツール選定者、経営層)は違えど、共通する一つの原因があります。
それは、システム導入の目的が、「ビジネスを成長させること」という本質的なゴールから、「システムを完成させること」や「個人的な体裁・都合」にすり替わってしまうことです。

システムは、あくまでも導入企業のビジネスを前に進めるための道具でしかありません。
この「目的と手段の混同」が、数千万円、数ヶ月の工数を一瞬で無駄にしてしまう共通点です。

この事前チェックを怠らずにゴールを明確にすることが、システム導入を成功させる一番の方法だと思います。

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