【知らないと損】システム導入で失敗する会社の3つの致命的な共通点

更新:2025年12月23日
「数千万円かけたシステムが、1年で使われなくなった」
「開発が完了した瞬間、経営者に却下された」
「パッケージをカスタマイズしたら、逆に身動きが取れなくなった」
このような悲劇は、決して他人事ではありません。
システム導入は、企業を成長させるための大きな投資です。
実際、IT投資の約70%が期待した効果を得られていないという 調査結果もあります(※1)。
では、なぜこのような失敗が繰り返されるのでしょうか?
答えは明確です。
システムの失敗の7割が、コードを書く前の 準備段階で決まってしまうからです(※2)。
どんなに優秀なエンジニアが開発しても、「誰が」「何のために」「何をゴールとするのか」という根本的な部分がズレていると、絶対に現場で使われなくなります。
今回は、私が30年のシステムエンジニア経験と20年の経営者経験から見た、 システム導入が失敗する一番の原因、すなわち要件定義のズレが原因で発生する、 特に致命的な3つの共通点をご紹介します。
※1 出典:IT整備士協会
※2 出典:IPA「ソフトウェア開発プロジェクトの失敗要因分析」
1. 【実例分析】致命的な3つの失敗パターン
システム導入の失敗は、機能自体ではなく、「ビジネスの目的」と「現場の業務」の理解が浅いまま進むことで発生します。
① プロジェクトが「体裁」にすり替わるケース
プロジェクトの目的が「業務改善や売上向上」から「システムを完成させること」にすり替わってしまうケースです。
■ 何が起きたか
エンドユーザーの担当者が、体裁やドキュメントのフォーマットなど、 本質ではない部分に過剰にこだわり始め、肝心な「何を、どう作るか?」という 仕様の決定が停滞。
■ なぜ失敗したか
・プロジェクトの目的が「業務改善」から「システム完成」にすり替わった
・本質的な成果の視点が欠落
・目的の再確認プロセスがなかった
■ 損失と教訓
・損失:プロジェクト大幅遅延 → 最終的に消滅
・期間:当初予定の2倍以上
・教訓:週次での目的確認ミーティングが必須
■ 防げた方法
・ プロジェクトキックオフで明確な成功基準を設定
・ 週次レビューで「本来の目的」を常に確認
・体裁より成果を優先するルール作り
② 「安い」が招く、パッケージ改修不能の罠
安易な理由でパッケージ製品をカスタマイズすることで、逆に身動きが取れなくなるケースです。
■何が起きたか
「ツールは安いから」という理由でパッケージ製品を選定し、カスタマイズして運用を開始。
しかし、実際に使ってみると業務に合わない部分が次々と判明しました。
その後、再度カスタマイズしようとしたところ、変更が必要な箇所がパッケージのコア部分に関わる仕様だったため、カスタマイズ不可能であることが発覚。
結局、1年間無理やり使い続けた後、システムを破棄することになりました。
■ なぜ失敗したか
・「安さ」を最優先し、業務適合性を十分に検証しなかった
・初期の要件定義が不十分で、現場の実際の業務フローを深く理解していなかった
・パッケージの制約条件(カスタマイズ可能範囲)を事前に確認していなかった
・PoC(概念実証)を実施せず本番導入してしまった
・カスタマイズのリスクとコストを見積もっていなかった
■ 損失と教訓
・無駄になった期間:1年間の運用期間
・発生コスト:初期導入費用 + 1年分の運用コスト + カスタマイズ費用 + 新システムへの再構築費用
・機会損失:1年間の業務改善の遅延、現場の生産性低下
・教訓:最安値ではなく「業務適合性」と「拡張性」を最優先すべき。安物買いの銭失いとは、まさにこのこと
■ 防げた方法
・ 業務フローの詳細な洗い出し(要件定義の徹底)
・ パッケージの制約事項の事前確認(カスタマイズ可能範囲の明確化)
・ 小規模なPoC実施(本番前の検証期間を設ける)
・ 複数ベンダーの比較検討(価格だけでなく適合性で評価)
・ 将来的な拡張性の確認(業務変化への対応可能性)
③ 終盤の「ちゃぶ台返し」で全てが無駄になるケース
導入の初期段階で経営戦略が共有・承認されていない場合に発生する、最も費用対効果の悪い失敗があります。
■ 何が起きたか
現場主導でシステム開発プロジェクトが進行し、開発も順調に進んでいました。
納品直前の最終確認の段階で、初めて経営者がシステムの内容を確認したところ、「これは経営の方針と違う」という指摘があり、プロジェクトが強制終了となりました。
その時点で、数千万円の開発費用と数ヶ月の工数がすべて無駄になりました。
■ なぜ失敗したか
・経営層が要件定義段階に関与していなかった(現場任せにした)
・経営戦略とシステム要件の整合性を確認するプロセスがなかった
・プロジェクト途中での経営層への報告・承認が不足していた
・経営ビジョンが現場に正確に伝わっていなかった
・システムは「経営戦略そのもの」という認識が全関係者に欠けていた
■ 損失と教訓
・発生コスト:数千万円の開発費用が全損
・無駄になった期間:数ヶ月の工数がゼロに
・機会損失:競合他社に対する遅れ、社内の士気低下
・信頼損失:開発チームと経営層の信頼関係の悪化
・教訓:経営層は初期段階から必ず参加すべき。「システムは経営戦略そのもの」であり、丸投げは絶対に避けるべき
■ 防げた方法
・ プロジェクトキックオフでの経営層の参加(ビジョンの共有)
・ 要件定義段階での経営層の承認(経営戦略との整合性確認)
・ マイルストーンごとの経営層への報告(定期的な進捗共有と方向性確認)
・ 経営戦略を明文化した文書の作成(プロジェクト全体で共有)
・ 重要な意思決定には必ず経営層を含める体制(現場任せにしない)
2.【実践】失敗を防ぐ4つのチェックポイント
失敗しないために、以下の流れを最低限の導入成功のセットだと考えるといいと思います。
① 課題整理と目的の明確化:
導入によって「誰が、何を、なぜ改善したいのか?」という目的を明確化する。
できれば数値目標を作成するとよいですね。
② 業務フローの見える化:
現状の業務と、システム導入後の理想的な業務フローを図で明確に比較し、ムダを特定する。
この業務フローを図解することが成功のキーポイントになります。
③ 経営層・現場の承認:
経営層のビジョンを要件に落とし込み、現場の意見を取り入れた上で、全関係者が設計に合意する。
「システムは経営戦略そのもの」であり、ここを外すと業務コストが逆に増えることになります。
④ 実運用を考えた設計:
「運用ルール」までを設計に組み込み、現場がスムーズに使い始められる教育・サポート計画までを含めてスタートする。
作っておしまいなシステムが多いですが、どうやって現場で使ってもらうのか一番の戦略が求められます。
このシステムを使う事で現場が、どのようなメリットを享受できるのか?「目的の明確化」と合わせた運用が必要になります。
3.【本質】失敗に共通する根本原因
これまで見てきた3つの失敗事例には、立場(現場担当者、ツール選定者、経営層)は違えど、共通する一つの原因があります。
それは、システム導入の目的が、「ビジネスを成長させること」という本質的なゴールから、「システムを完成させること」や「個人的な体裁・都合」にすり替わってしまうことです。
4. まとめ:システム導入成功への最重要ポイント
システムは、あくまでも導入企業のビジネスを前に進めるための道具でしかありません。
この「目的と手段の混同」が、数千万円、数ヶ月の工数を一瞬で無駄にしてしまう共通点です。
この事前チェックを怠らずにゴールを明確にすることが、システム導入を成功させる一番の方法だと思います。
【参考文献】
・ガートナー「IT投資効果に関する調査」
・IPA(情報処理推進機構)「ソフトウェア開発プロジェクトの失敗要因分析」
【関連記事】
システム導入を成功させるために:
• システム延命の損益分岐点:「改修」か「作り直し」か?プロが教える3つの判断基準
https://trans-it.net/news/post_115.html
既存システムを改修するか作り直すかの判断
【関連する導入事例】
システム導入を成功させた実績について:
• 【名古屋の会員制イベント企業様】イベント募集SNSアプリのリニューアル|他社開発システムの引き継ぎ改修
https://trans-it.net/works/post_54.html
UI/UX改善と現場の声を反映し、会員数10倍を達成した事例
• 【お客様インタビュー】同じチームの一員のように伴走してくれる安心感
https://trans-it.net/works/post_42.html
失敗を避けるための開発パートナー選びのポイント
【サービス案内】
※当社の具体的な改修アプローチについては
[他社システム改修・引継ぎサービス]も併せてご覧ください。
現場と経営のズレを解消する「要件定義」を相談する