赤黒ゲームで得た教訓:相互信頼をどう構築するか?「信頼残高」を積み上げるための思考

今回は、「信頼関係」というものは一体、どういうものなのか、という問いからお話ししてみたいと思います。
ビジネスや人間関係において、「誠実さ」が大切だと分かっており、100%、誠実に対応するのは間違いありません。
通常、特に、初めて取引するお客様に関しては、どこか、自分自身も相手のお客様も漠然とした不安を抱きます。
そこで、何度も取引するうちに、信頼が増していくことになりますね。
そういう意味では、信頼関係を構築するにはある一定以上の時間が必要となります。
日本では、社会が成熟してきているので、ビジネス上の取引では相手と相互の信用を得るのは比較的、スムーズです。
しかし、「相手を信頼する」という行為は、簡単なようにみえて、なかなか奥が深い話なんですね。
どうして、そのように思ったのかというと、ある自己啓発セミナーで知った赤黒ゲームを経験したからです。
1. 「疑心暗鬼」が未来を閉ざす:赤黒ゲームの教訓
この赤黒ゲームは、非常に示唆に富んでおり、本当はお互いの利益を最大化できるはずなのに、「自分が信用していないから相手も裏切るだろう」という疑心暗鬼に陥り、その結果、誰もが裏切りを選び、結果的に誰も得をしない「負け」に終わってしまうというよくできたゲームです。
このゲームは、短期的な利益や自身の不信感に囚われることが、いかに人間社会を疲弊させ、最大の利益を逃す非合理的な行為であるかを証明しています。
皆さんも、一度、赤黒ゲームがどんなものかネットで調べてみてください。
2. 「情報公開」で不信の壁を打ち破る
では、この根深い「不信のコスト」をどうすればゼロにできるのでしょうか?
その答えは、情報公開にあるのではないかと私は考えています。
私たちは、極力、自分の情報を公開し、こちらがどういうことを考えているのか、何の価値に重きを置いているのかを相手に理解してもらう行動が必要です。
何も伝えていないのに、「こちらを理解してくれ」といっても、誰も理解してくれません。
コミュニケーションを怠り、不透明な状態を放置することは、不信のコストを最大化します。
ただし、こちらが一方的に情報公開しても、相手が何も情報公開をしない場合は、本当のWin-Winの関係は作れません。
お互いがお互いの価値や意図を公開してはじめて、信頼という原則が成り立ちます。
これは、国同士も同じかもしれません。
3. 「良心」を基準軸とする日々の奮闘
原理原則である誠実、正直、公正さは、この「情報公開」の土台となります。
私自身の経験からも、原理原則を外した生き方は必ずどこかで失敗すると思います。
私は、聖人君主ではありません。
私自身も、何かあれば、ついつい利己的な行動に傾いてしまいます。
恐らく、人間は誰しもそうなると思います。
しかし大切なことは、自分が利己的な行動に傾いた時に、自分をなるべく早めに客観視できるように見つめ直し、「いかんいかん」と行動を調整し直すことです。
この直ぐに行動を改め、調整し直すことは、不信の連鎖を断ち切る上で最も大切です。
行動の基準を「良心」という名のナビゲーターに置くことで、社内でも社外でも、不信感によるムダな時間やコストがなくなります。
社員一人ひとりが、信頼を前提に行動できる組織を創ること。
これが、不確実な未来において、最も早く、最も確実に成功へと到達する道ではないでしょうか。