今の開発会社を変えたい。システム引継ぎを成功させる3ステップ

最近、このようなご相談をいただく機会が増えています。
「今の開発会社の対応が遅く、コストも見合わない。会社を変えたい」
「追加改修を依頼したが、今のシステムでは無理だと断られてしまった」
しかし、いざ会社を変えようと思っても、「他社が作ったシステムを引き継げるのか?」
「もし失敗してシステムが止まったら……」という不安がブレーキになり、現状に甘んじているケースも少なくありません。
長年のエンジニア経験から見れば、適切なステップを踏めば引継ぎは決して難しいことではありません。
今回は、私が実際にご相談をいただいた際、「まず何を確認し、どう動くのか」。
その具体的な成功ステップを公開します。
ステップ1:システムの「鍵」を確保する
今の開発会社から離れるために、まず確認すべきは「自社でシステムをコントロールできる状態にあるか」です。
私は最初に、お客様に契約書があるかどうか、どのように書かれているかを確認します。
「契約書があるかどうか」「契約書の内容がどうなっているのか」は分かりますよね?
まずはそこから紐解いていくことになります。
それが明確になった時点で、残りの項目をさらに確認していきます。
細かな技術的なことは分からないと思いますが、お客様と一緒に一つ一つ、確認していきます。
① 契約書はどうなっているのか?
システムの著作権は自社になっているのか、あるいは開発業者側に帰属しているのかを確認します。
著作権が業者側にある場合でも、他社での保守や改修が「利用許諾」の範囲内で認められているかどうかが重要なポイントになります。
② サーバの置き場所はどこか?
AWSなどのクラウドか、あるいは自社内の物理サーバか。
過去にはWindows IISで運用されているケースもありました。
③ サーバに接続するためのアカウント情報は分かるか?
管理画面のID・パスワード、SSHキーなどが手元にあるか?
④ ルート権(最高管理者権限)が取れるか?
自社、あるいは新しい委託先がサーバ内をすべて操作できる権限があるか?
⑤ プログラムの言語は何で書かれているか?
PHP, Python, ASPなど、エンジニアが中身を読み解ける形式か?
たとえ今の会社から「仕様書がない」と言われても、これらがクリアできれば、プロのエンジニアがソースコードから直接、現状を紐解くことができます。
ステップ2:本番を止めない「検証サーバ」の構築
会社を切り替える際の最大の懸念は「切り替えた途端に不具合が起きるのではないか」という不安ではないでしょうか?
だからこそ、私が徹底しているのは、「いきなり本番環境を触らない」ことです。
まずは現在の環境と同じ構成の「検証サーバ」を別途立て、そこで動作を完全に再現させます。
現在の会社の保守が続いている間に、安全な「実験場」を作り、そこで解析とテストを行う。
このステップを踏むことで、業務を止めるリスクを最小限に抑えながら、安全に新体制へと移行することができます。
また、この過程を経由することで、システムがどのような構造になっているのか?
どのような部品が使われているのかを全て洗い出すことができます。
ステップ3:エンジニアによる「コードの直接診断」
エンジニア責任者が直接ソースコードを拝見します。
コードを見れば、そのシステムが丁寧に作られているか、無理な改修が重ねられていないか、いわば「システムの健康状態」がすべて分かります。
ここで重要なのは、「今の会社が『できない』と言った理由」や「対応が遅い理由」を技術的に検証することです。
「本当に不可能なのか?」をプロの目で判断し、「解決」に向けた現実的なロードマップを提示します。
まとめ:システムの主導権を自社に取り戻す
システムを、特定の一社にしか詳細が分からない「完全なブラックボックス」にしてしまうことは、事業継続性の観点からも注意が必要です。
もちろん、開発会社が持つ独自のノウハウやプログラムの著作権は尊重されるべきものです。
しかし、「何が、どこで、どのように動いているのか」という管理権限と仕様の透明性は、お客様自身が把握しておくべき重要な資産となります。
適切なステップを踏んでシステムの現状を可視化できれば、たとえ開発会社を変えたとしても、主導権を自社に引き寄せ、ビジネスのスピードを加速させることができます。
「うちの環境は特殊だから……」「古いシステムだから断られるかも……」と諦める必要はありません。
まずは前述したポイントを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
分からなくても、一つずつ一緒に探していくことで道は開けます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。 個別の状況により対応は異なりますので、 詳細はお問い合わせください。
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