中小企業のためのDX、何から始めるべきか?「将来の価値創造」のための第一歩

多くの経営者は、「DX化=高額なシステム導入」だと考えておられるのではないでしょうか?
しかし、DX化は単にシステムを入れるという事ではありません。
DX化とは、「将来の新しい価値を生むために、組織と仕事のやり方を変革すること」です。
1. DX化すべき業務の見極め:「非効率の排除」という視点
デジタル化しなくても、もともと高効率な業務はDXする必要はありません。
我々が最初に始めるべきは、最も時間のかかっている箇所やミスが多い箇所、属人化している箇所を注意深く見つけることですね。
「どこが非効率か?」を判断するために、まずは現状の業務に対し、「現在、どのような時間が掛かって、どのようなミスがあるのか」を観察することから始めます。
「今までこれでやってきたから」という理由で、今までの手順で行うことが当たり前になっているような業務は、なかなかDX化して業務効率を上げようとも思っても腰が重いことがあります。
しかし、DXとは、その「当たり前」という固定観念を打ち破り、非効率な仕事はやらないという意識変革から始まります。
【DX化すべき業務を探す5つのコツ】
特にDX化を進めることで、社員のモチベーションと生産性が向上する業務を探すためのチェックリストをご紹介します。
(1)データ消失のリスク:
ちょっとでもミスをするとデータが失われてしまったり、元に戻せないような業務がないか?
(2)同時操作のロス:
複数の人数で同時に操作するような業務がないか?
(※エクセルファイルなどを複数人で共有している場合など)
(3)不毛なコピペ・手入力作業:
データを手動でコピペしている、または毎回同じ情報を手入力しているなど、モチベーションを奪う不毛な業務がないか?
(4)経営判断を遅らせる業務:
売上、部門別利益などの会社の数字を把握するのに、毎回、多くの時間かかり、意思決定のスピードを鈍らせている業務がないか?
(5)顧客の手待ち時間:
お客様からの問い合わせ対応や見積もり作成に時間がかかり、レスポンスを遅らせる業務がないか?
2. システムを入れない「最初の変革」
「高額なシステムは不要」というからには、具体的に何をすべきか?
それは、特定した非効率な業務に対して、「最も安価で、最も簡単にできる仕組み」から導入することです。
これらの行動は、大きな予算を必要としません。
まずはこの意識と行動の変革こそが、将来的に必要なシステムを正確に見極めるための土台となります。
① ルール変更とドキュメント化
非効率なタスクを禁止するルールをまず設定する。
(例:口頭ベース、紙ベースの申請など)
属人化している特定の個人のノウハウを、WordやGoogleドキュメントに書き出し、共有する。
(これがDXの最初の資産となります)
② 低コストのツール導入
Excelで共有しているファイル(同時操作ロス)を、GoogleスプレッドシートやOffice 365などのクラウド共有ツールに移行する。
簡単な承認作業に、SlackやChatworkなどの「承認スタンプ機能」を使うなど低コストのITツールを活用もいいですね。
(承認作業は遅延の原因になります)
③ 評価のルール変更
「時間」ではなく「完了」を評価するルールを徹底し、無駄な作業を排除する意識を現場に根付かせる。
実は恥ずかしながら、システム会社の弊社でもDX化が遅れている業務は多数あります。
今までやってきて「当たり前だから」という風潮は弊社の中にもあり、外部からの指摘やデータが欠損してはじめて、まずいと気が付く事があります。
また、特定の単価の低い「作業」に足を引っ張られ、より高価な作業が滞るようになり、DX化の必要性に気が付きます。
しかし、弊社は、DX化に取り組むスピードは比較的早く、気が付いた時点ですぐに改善が行われるのはよいところです。
既存業務のやり方自体に価値を見出していないことや、当然ながらDX化に抵抗がないのがその理由ですね。
まさに、この「非効率な仕事の進め方は嫌だ」という柔軟な姿勢こそが、未来の価値を生むDX推進の最強の原動力だと信じています。
皆さんも、まずは、大きな予算を組む前に、小さな非効率な業務を特定し、それを変革することから始めてみませんか。