社員の成長を促す:本当に必要なのは「スキル」より「生き方」を学ぶこと

社員の成長を促すために、会社は何をすべきか。
このテーマについて、私は長年考えてきました。
もちろん、資格取得の試験料補助や、最新技術のセミナー参加を支援することは、スキルを高める上で不可欠です。
弊社でも積極的に、様々な勉強会への参加を推奨しています。
しかし、私が社員の成長において最も重要視しているのは、スキルだけではありません。
知識はあっても「生き方」を学んでいない我々
小中などの義務教育では、算数、数学、理科、国語、社会などの知識を習得します。
しかし、「どうやったら人生をうまく生きられるのか」という「生き方」を教えてくれる場所は、残念ながらどこにもありません。
その結果、社会人になったからといって、誰もがいきなり人生をうまくコントロールできるようになるわけではありません。
弊社の社員を見ていても、自身の人生を苦しく感じている若者がとても多いように感じています。
皆、多くの失敗を繰り返して少しづつ自分なりの生き方を見つけていきます。
しかし、それでは対処療法的な生き方になってしまうので、周りの環境によってはネガティブな生き方に苦しむことになります。
ここでポジティブな「生き方」のヒントを得ることが、結果的に仕事をも飛躍的にうまく進める鍵となります。
生き方が分からなかった自分と転機
何を隠そう、私自身もそうでした。
20代の頃は、自分の「生き方」が分からず、周りの人間関係に飲み込まれ、自分を見失うことがありました。
私が体系的な学びの場に参加した最初のきっかけは、実は極めて偶然的で、消極的でした。
私が結婚した時、うちの妻は自己啓発セミナーへの参加を計画していました。
妻は偏見が私に比べて無いので、そういうことに積極的でした。
色々なことが学べることが分かっていたんですね。
ある時、妻がそのセミナーに申し込んでいた矢先に子どもが生まれ、妻は参加できなくなってしまいました。
費用はすでに前払いしていたため、誰かが行かなければいけない。
そこで、私は嫌々ながら、妻の代理で参加することになりました。
当時の私は、「自己啓発セミナーは怪しい」と思っていました。
しかし、結果的にそのセミナーでの学びにより、自分のものの見方や考え方が大きく変わり始めたのが自分でもはっきりと分かりました。
「変わる意志」とジレンマ
どう生きるのか、どうすれば楽な思考でいられるのかという「生き方」は、それを研究し、実践し、体系立ててきた先人から学ぶしかないと、私は確信しています。
親でさえ、どう生きるのかの正解は教えてくれません。
私は、その考え方のヒントを社員に掴んでほしいと強く願っています。
だからこそ、私が参加して良かったセミナーや勉強会は、費用を会社が負担してでも、社員に積極的に勧めたいと思っています。
しかし、この取り組みには大きなジレンマがあります。
それは、社員が求めていない学びを、会社が一方的に押し付けることはできないということです。
なぜなら、「自分の生き方を変えたい」と心の底から強く願っていない限り、人は変われません。
それでも、私が社員に行ってほしいと思うのは、人生を変える「ヒント」を手に入れるチャンスがそこにあると感じているからです。
私自身が予期せぬきっかけで変われたように、どこかに自分を揺さぶる言葉が転がっているかもしれない。
そのきっかけを伝えたいと強く願っています。
会社が社員の成長を「強制」することはできませんが、私ができるのは、ただ一つです。
それは「人生のどこかには、必ず希望(チャンス)があるんだよ」ということを、何らかの形で伝え続けることです。
スキルアップの先に目指す「真の成長」
私が社員のスキルアップを支援するのは、彼らの人生の選択肢を増やしてほしいからです。
それが結果的に、この会社を強くすることに繋がります。
仮に弊社を辞める日が来たとしても、どこへ行っても必要とされ、自分の力で生きていけるようになってもらいたい。
この会社での経験が、単なる職歴ではなく、人生を豊かにするための土台となるよう、これからも社員の成長を全力で支援していきます。